AI時代の幕開けと、子どもたちに本当に必要な力
先月、朝日新聞の一面に「AIが人類を滅ぼす可能性」という刺激的な記事が掲載されました。新聞の一面にこうした内容が載ること自体、まるでSF映画のようで、AIが生活に入り始めていることは理解していても、どこか実感が追いつかない不思議な気持ちになります。
記事は、オープンAIの研究者ダニエル・ココタイロ氏の「AI 2040」をもとに、人類が進みうる5つの道筋──A・B・C・D・S──を紹介していました。
●私たちが立っている場所はどこなのか
最良の「プランA」では、2029年に予測されるAIの知能爆発を避けるため、米国大統領が国際協力を呼びかけ、米中が開発競争を緩める未来が描かれています。透明性あるAI開発が広がり、人類はその恩恵を受ける──そんな希望あるシナリオです。
しかし、その確率はわずか10%。そして記事は「私たちが今いるのはプランD」だと指摘します。米中の開発競争が止まらず、AIの性能向上が制御不能になり、AIが自らの生存を優先して人類に攻撃を仕掛ける──最悪の未来です。
●“巨大な円盤”が頭上に浮かぶ世界
この構図を読んで、浅野いにおさんの『デッ・デッド・デーモンズ・デデデデデストラクション』を思い出しました。空に巨大な円盤が浮かび続ける異常な状況に、人々は次第に慣れてしまい、日常の一部になっていく。しかし裏側では各国が協力どころか争い続け、ある日突然の攻撃で人類が滅びる──そんな物語です。
AIもまた、静かに頭上に浮かぶ巨大な円盤のような存在なのかもしれません。
●2030年、社会はどう変わるのか
最善のプランAでさえ、2030年ごろにはホワイトカラーの仕事が減る未来がほぼ確実だと言われています。社会制度が追いつくまでのタイムラグを考えると、社会は一時的に大きな混乱に見舞われる可能性があります。
私たちには、AIの国際競争を止めることはできません。
しかし、激動の時代を生き抜く力を子どもたちに育てることはできます。
●AI時代の子どもたちに必要な力は?
私は次の3つだと感じています。
「好奇心」「自分の頭で考える力」「行動力(とりあえずやってみる力)」
これらは、日々の勉強やクラブ活動を一生懸命に取り組むことで育つ力です。ただし、好奇心だけは、子どもたちの周りの大人が、日々何事にも楽しんで取り組む姿勢を見せることが必要だと感じています。
AI時代の教育について詳しく知りたい方には、小宮山利恵子さんの『好奇心でゼロからイチを生み出す「なぜ?どうして?」の伸ばし方』をおすすめします。AIと教育の専門家であり、同時に子育てをするお母さんでもある著者の言葉は、共感と実践の両方を与えてくれます。
●AIという“静かに浮かぶ巨大な未確認飛行物体”
AIは、私たちが恐れて目を背ければ背けるほど、理解できないまま巨大化していく存在です。だからこそ必要なのは「恐れないこと」ではなく、「向き合うこと」。未知を遠ざけるのではなく、未知を扱う力を育てること。
頭上に浮かぶ巨大な円盤のようなAIを脅威として見上げるのではなく、道具として使いこなせる世代を育てたい。そのための第一歩は、私たち大人自身が学び続ける姿勢を子どもたちに背中で示すことだと思います。
<塾長 高木秀章>