低学年指導の大切さ
パスカルは「人間は考える葦である」と述べました。自然の前では小さな存在であっても、人は“考える力”を持っています。万緑会では、この理念を教育の中心に据え、知識や技能を詰め込むのではなく、子どもが自ら考え、気づき、行動できる力を育てることを大切にしています。
小学校低学年は、学び方や生活の型、人との関わり方が形づくられる大切な時期です。この時期に「自分の頭で考えて行動する」経験を積み重ねることが、後の学力や生き方の土台になります。
■ 小学受験クラス ― 幼児期の生活が学びの基礎になる
幼児期は、五感を使った体験がそのまま理解の土台になります。万緑会では、公園や園内で植物・昆虫に触れたり、七夕や七五三などの行事を通して季節の違いを学んだりと、体験を重視した学びを行っています。
言語や数の基礎は、しりとりや言葉遊び、教具を使った活動を通して無理なく身につけます。図形や巧緻性は、点結びや塗り絵、はさみ・のりの活動で育て、集中力や手先の感覚を養います。
また、「何が好き?」「家族は?」といった身近な問いに答える練習を重ねることで、口頭試問や面接の基礎となる“自分の考えを言葉にする力”を育てます。挨拶や靴を揃えるなど、家庭と連携した生活習慣づくりも大切にしています。
■ 能力開発クラス ― 試行錯誤が「考える型」をつくる
能力開発クラスでは、図形パズルや思考課題を通して、学習の土台となる力を育てます。お金タイルやメジャーなどの教具を使い、視覚や体感に訴える学びを取り入れることで、子ども自身が「気づく」瞬間を大切にしています。
テキストはスモールステップで進め、原理原則を自ら見つけられるよう促します。学んだ知識は知育ゲームで使い、生活感覚へと結びつけます。結果よりも過程を評価し、「自分でできた」という実感を積み重ねることが自信と自立につながります。
GWを過ぎる頃、難しい課題に直面して「行きたくない」「しんどい」と感じる子が出てきます。これは自然な反応です。大人でも、楽しみにしていた旅行の前日に気が進まなくなることがあります。非日常へのプレッシャーと日常を手放す不安が原因だとされています。
子どもも同じで、勉強となればなおさらです。そんな時は、スモールステップで「できた」を増やし、ときには気分転換をしながら、再び前向きに取り組めるよう支えます。悩んだり逃げたくなったりする経験も、成長には欠かせません。
万緑会では、ただほめるのではなく、努力して乗り越えた過程を丁寧に認めることを大切にしています。
■ おわりに ― 自立を育てる教育
教育の目的は「自立」です。自立とは、言われた通りに動くことではなく、状況を見て自分で考え、選び、行動し、必要に応じて修正できることです。
だからこそ低学年期には、知識を増やすだけでなく、「なぜ?」「どうして?」と考える習慣を育てることが重要です。その習慣こそが、将来の成長を支える確かな土台になります。〈万緑会 伊藤喜章〉