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「ライブ授業だからできること」を自身の数学の授業を通して語ります

映画館で映画を見るとき、私は前日にしっかり睡眠をとり、万全の状態で臨むようにしています。なぜなら、映画館では一時停止も見返しもできず、集中力を欠いたら取り返しがつかないからです。DVDなら自分の都合で始められ、気になる場面を何度でも確認できます。それを思うと、映画館は不便な場所でもあります。

この構造は、ライブ授業と映像授業の関係にとてもよく似ています。

カイチ予備校で授業をするようになってから、「ライブ授業の存在意義」を考える機会が増えました。世の中には映像授業中心の予備校や、自習支援型の予備校もあります。その中で、あえてライブ授業を選んでもらうためには、「ライブだからこそできること」を示さなければなりません。

ライブ授業の欠点としてよく挙げられるのは、 ・タイムリーさに欠ける ・参考書で自習した方が効率的 ・映像授業の方が都合に合わせやすい など、「タイパが悪い」という評価です。

しかし私は、この“タイパの悪さ”こそがライブ授業の価値だと考えています。

参考書や映像授業は、どちらも「解法が決まった後」の説明です。一方通行であり、思考の過程は見えません。ライブ授業が勝てるポイントは、まさにこの逆にあります。解法を決める前の“思考の絞り込み”を、目の前の生徒の発想から始められること。

例えば、あるキーワードXに対して解法候補がA・B・Cの3つあるとします。私の授業では、Xが出るたびに必ず3つすべてを挙げます。9割がAで解ける問題でも「他に候補は?」と必ず確認します。そうしないと、いつの間にか「XならA」が常識になり、レアケースに遭遇したときにBやCが思考の候補にすら上がらなくなるからです。

この“遠回り”こそが、思考の筋力を鍛える時間です。

卒業生の中には「授業中に自分以外の生徒の視点を知れたことが良かった」と書いてくれた生徒もいました。まさに、頂上の景色だけを見せるのではなく、一緒に登り方を経験する価値です。

さらに、ライブ授業にはもう一つ大きなメリットがあります。それは「説明を聞いた直後に演習へ入れる力」を育てられることです。高校の授業スピードについていける生徒は、説明を聞いている段階で“能動的に理解しにいく姿勢”を持っています。ノートを見返さず、すぐに問題に取り組めるのです。

これは、決められたスタートラインに合わせる力でもあります。自分の都合で開始でき、一時停止もできる映像授業ばかりに慣れてしまうと、勝負の場で集中力を合わせることが難しくなるかもしれません。

「整ったらスタート」ではなく「整えてスタート」。 その訓練は、タイパの悪いライブ授業だからこそ積むことができます。<福井幸司 カイチ予備校蒲生校>

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