がん研究の最前線~薬学のおもしろいところ~ | 開智総合学院 〜大阪市城東区の総合学習塾〜
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がん研究の最前線~薬学のおもしろいところ~

これからもしかすると昨年と同じように暑い夏になるかもしれません。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。楽しい、そして充実した夏休みになってもらえたらなぁと思っています。

今回はエニグマで教えてもらっている石田先生の研究をご紹介します。石田先生は、エニグマに生徒として通った後、講師として教えに来てくれています。「京大数学・京大英語・化学・生物・国語」と、超オールマイティーな先生です。また研究者として、「がん細胞」の研究をされていて、来年からは理学部の博士前期課程に進まれる予定です。

そんな石田先生に、今回はご専門の「細胞にいたる薬のルート」について、お話しいただきます。

<薬のお話>

はじめまして。エニグマ講師の石田です。みなさんはよく効く薬といえばどういったものを想像しますか?「効果が強いほど、よい薬!!」と思ったりしませんか?

実は、「効果が強い薬ほど良い薬」、とは限りません。

<効果を発揮する条件>

①「効果が強い」

②「薬が届いてほしい場所に届くかどうか」

薬は、この①と②があって初めて効果を発揮します。

世界最高の薬でも、目的の細胞に届かなければ、効果はでないのです。つまり、薬が実際にどのくらいよく目的の場所に届くかという観点も重要になっています。

たとえば、上の例のように薬A、Bがあり、薬Aの効果がBの10倍だったとしましょう。一見Aの方が良い薬のような気がしますよね。ですが、AはBよりも目的の細胞内に入りにくく、その量がBの10分の1だったとします。するとこの二つの薬からは同じような効果しか得られないことになってしまいます。せっかく効き目の良い薬を作っても目的の細胞に届かなければ、期待した効果が得られないのです。

<薬が届いた先の環境が大事!? ~免疫細胞~>

もう一つ、薬の効果を複雑にする要素として免疫細胞の存在があります。がん細胞を狙い撃ちにするよう設計された薬であっても、周囲の免疫細胞がその働きを変えてしまうことがあるのです。免疫細胞はもともと体を守るために存在しており、薬と協力してがん細胞への攻撃を強めてくれる場合があります。一方で、がん組織の周囲では逆にがん細胞を守るように働いてしまう免疫細胞もいることがわかっています。同じ免疫細胞でも、状況によって薬の効果を高めることも、打ち消すこともあるのです。「どう届けるか」だけでなく、「届いた先の環境」も薬の効果を大きく左右します。

<脳は要塞!どうやって薬を届けたらよい?>

また、臓器によっても薬の届きやすさに差があります。たとえば、脳はもっとも薬が届きにくいことで知られています。脳腫瘍など、「脳の病気は治りにくい」という印象はありませんか?これは私たちの体が異物から脳を守る仕組みが皮肉にも影響しています。

通常の血管には細胞間に隙間があり、そこを物質が移動しています。しかし、脳の血管では細胞同士がとても強く、そして隙間なく結合していて隙間がありません。このバリアのことを血液脳関門(BBB)と言います。それに加えて、組織の中の異物を血管に排出するしくみが多く存在します。隙間がないため他の組織に比べて細菌や有毒な物質が入りにくく、入ったとしても排出されるようになっているのですね!

薬も体にとっては異物なので、ほかの異物と同じように組織の中に入りにくいのです。

これを改善するために超音波を使って細胞の隙間を一時的に広げる技術や、簡単に薬が排出されないように、ナノカプセルに包むという方法が研究されています。

このように薬を目的の場所へ届けることは、薬の効果と同じくらい重要な課題なのです。それを改善しようと理学・工学・医学など多くの分野が連携して研究が進められています。こういった研究に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。<富田昌史 エニグマ教室>

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